創業77年、品質至上主義を貫く「川口納豆」のこだわり

創業77年の老舗が挑む「科学的米作り」
AIと衛星データで紐解く、稲の育て方
宮城県の老舗納豆メーカーでありながら、データと微生物を駆使した革新的な米作りを行う有限会社川口納豆の門傳英慈さんと、
金沢を拠点に活動する鍬田の対話から、「伝統とイノベーションが融合する現代農業の姿」を紐解きます。
鍬田: 門傳さん、本日はよろしくお願いします。まずは「川口納豆」の歩みについて教えていただけますか?
門傳: はい。弊社は宮城県北部の栗原市で、77年前に創業しました。現在は納豆製造のほか、お米作りや、そのお米を使った日本酒作り、さらには炭作りなども手がけています。
鍬田: 納豆作りにおいて、特に大切にされていることは何でしょうか?
門傳: 創業以来の「品質本位」です。弊社の主力商品は、今では珍しい紙包みの納豆で、あえて「タレ」を付けていません,。タレを付けると納豆本来の個性が消えてしまうからです。お客様にはそのまま、あるいは好みのお醤油で、大豆本来の甘みを感じていただきたいと考えています,。
鍬田: テレビ番組の『笑ってコラえて!』では、所ジョージさんが6種類の納豆を食べ比べて、その特徴を全部言い当てたそうですね。
門傳: そうなんです。タレントの皆さんは本当に謙虚で、スタッフへの心配りも素晴らしく、第一線で活躍される方の凄さを実感しました。
2. 微生物とデータを駆使した「科学的」な米作り
鍬田: 門傳さんはお米作りでも非常にユニークな取り組みをされていますよね。
門傳: はい。今年からは特に、土壌分析の方法を抜本的に変えました。日本の一般的な分析項目が5つ程度なのに対し、弊社はアメリカに土を送り、約20項目の分析を行っています。
鍬田: 20項目!具体的に何が見えてくるのでしょうか?
門傳: 「土の中の微生物が最大限に活動できる環境」をどう作るか、という視点です。これまでは「肥料を入れればいい」と考えがちでしたが、数値で見える化することで、再現性のある米作りが可能になります,。
鍬田: さらに、「田んぼに水を張らない」という驚きの方法も試されているとか。
門傳: 基本的に、必要な時以外は水を張りません,。すると、稲は水分を求めて地中深くへと根を伸ばします。土が柔らかく微生物が活発なため、根の量も多く、長く育つんです。
鍬田: まさに「根性」のある稲が育つのですね。ITやAIも活用されているのですか?
門傳: はい。衛星データやAIを活用して、これまでの勘や経験を数値化しています。農業は今、非常に面白い方向に変わっています。20代、30代の若い経営者も増えていて、私自身、毎日田んぼに行くのが楽しみで仕方ありません。
3. 「和食をパッケージで世界へ」描くグローバルな展望
鍬田: 門傳さんは輸出にも力を入れていらっしゃいますね。
門傳: はい。自社のお米100%で作った日本酒は、毎年12月に発売して即完売するほどの人気ですが、これも輸出しています,。私の今の願いは、「納豆・お米・日本酒」を和食のパッケージとして世界に届けることです。
鍬田: それは素晴らしいコンセプトですね!「ご飯と納豆に合う日本酒」としてセットにすれば、海外でも喜ばれそうです。
門傳: ありがとうございます。まずは自分の商品から始め、いずれは他の地域の良いものも合わせて紹介していける形を作りたいですね。
4. 100周年に向けた「低成長」の持続可能性
鍬田: 門傳さんは次世代へのバトンタッチも意識されているとお聞きしました。
門傳: はい。3年後の創業80周年を機に、娘に社長の座を譲る予定です。私は、企業規模を無理に大きくすることは好きではありません。毎年1〜3%の「低成長」を続け、地域に必要とされ続ける仕組みを作ることが一番だと考えています。
鍬田: 「売れすぎは注意」という言葉には、品質への強い責任感を感じます。
門傳: 従業員が疲弊して品質が落ちては元も子もありませんから。これからも、農業と納豆を融合させた「他にはないもの」を作り続け、楽しみながら仕事をしていきたいですね。
鍬田より提案: 門傳さん、お話ありがとうございました。事業承継をスムーズに進めるための税務のスペシャリストや、お米を劇的に美味しく炊き上げる「金シャリ水」の開発者など、門傳さんの挑戦をさらに加速させる仲間をぜひご紹介させてください。
門傳: ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
<時代に合わせてイノベーションポイント>
- 第三者視点を経営に活かす
- 美容師ではない経営者だからこその客観的な視点で、新たな価値を創出する。
- 数字に基づく経営改革
- MG研修(マネジメントゲーム)を導入し、感覚ではなく数字で判断する経営へ転換する。
- 社員教育と組織力の強化
- スタッフ全員が経営感覚を学び、利益を生み出せる組織づくりを進める。
- 伝統を守りながら変革を続ける
- 創業の理念を継承しつつ、新しい経営手法を積極的に取り入れ、持続的な成長を実現する。

代表 門傳 英慈 (写真中央)
住所:宮城県栗原市一迫字嶋躰小原10
0228-54-2536
ホームページ
https://www.kawaguchi-natto.co.jp/

この記事を書いた人:鍬田 和彦(くわた かずひこ)
3RD 編集長 / ブランドプロデューサー / M&Aバリューアップディレクター
企業のブランド価値向上を専門とし、デザイン・ブランディング・マーケティング・M&Aを掛け合わせた企業成長支援を行う。
「100年企業は日本の宝」という想いのもと、次世代へ事業を受け継ぐ経営者や、3代目・4代目の挑戦を取材・発信するWEBメディア「3RD」を運営。企業の歴史や理念だけでなく、その先にある未来へのビジョンを伝えることを使命としている。

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