受け継がれる「誠実」の魂と、AIが切り拓くアナログの対極点|古川幸永さん

アナログの価値を再定義し、AIと融合させる
—印刷業の未来を創る挑戦—
福島県郡山市で複写伝票に特化した印刷業を営む株式会社和古川の古川氏と、
デザイン業界で30年のキャリアを持つシンククリエーションの鍬田氏。
DTPの黎明期から業界に携わってきた二人が、伝統的な「紙」の価値と、
最新の「AI」を掛け合わせた新たなビジネスの可能性について語り合いました。
1. 苦境から見出した「自社の強み」とBNIでの気づき
鍬田: 私は30年ほどデザインに携わっていますが、最初は製版会社で「デザイン部門を君が作るんだ」と言われたところからのスタートでした。古川さんも2代目として家業を引き継がれたそうですね。
古川: はい。決して良い状態での引き継ぎではありませんでしたが、何が強みかを見極める中で、自社で内製化できる「複写伝票」に特化してきました。
鍬田: その「強みの純化」には、BNI(ビジネスコミュニティ)での経験も大きいのでしょうか。
古川: 非常に大きいです。福島から東京のチャプターに新幹線や高速バスで毎週通い、自社の強みをいかにプレゼンし、紹介に繋げるかを突き詰めてきました。そこで「印刷屋」ではなく「複写伝票のスペシャリスト」としての立ち位置を確立できたと感じています。
2. 「紙に書く」という体験を未来に残す新商品
古川: デジタル化が進む今だからこそ、「紙に書いて残すことの価値」を大切にしたいと考えています。その想いから、複写技術を応用した新しいメモ帳を開発中です。
- 子供向け複写メモ: 1枚書くだけで複数枚のコピーができる特性を活かし、子供たちが手紙や塗り絵を書いて、同時におじいちゃんやおばあちゃんに配れるような遊び心のある商品です。
- ビジネス向け複写メモ: 対面の打ち合わせで図を描き、その場ですぐに相手に渡せるという、アナログならではの良さを提案しています。
3. 次世代のイノベーション「AI複写メモ」の構想
鍬田: 古川さんのお話を聞いていて、「AI複写メモ(AI伝票)」というアイデアが浮かびました。
古川: AIと複写ですか?
鍬田: はい。紙に書く作業には脳を活性化させる「ジャーナリング」の効果があります。このアナログの良さを残しつつ、書いた内容をスマホで撮影すればAIがスキャンしてクラウドに保存される。反射しにくい紙質や、AIが読み取りやすいフォーマットを印刷技術で実現するんです。
古川: それは面白いですね。デジタルとアナログの融合ですね。
鍬田: さらに、保存されたメモを業界別にジャンル分けして共有できれば、他人の思考から学びを得る「知の資産」にもなります。YouTubeのアワードのように「ベストメモ賞」を作るのも面白いかもしれません。
4. 100年企業を目指して——「人」と「変化」の重要性
鍬田: 古川さんにとって、会社の1番の財産は何ですか?
古川: やはり「人」です。そして、100年続く企業になるために必要なのは「変化し続けること」だと思っています。
鍬田: 変化、ですか。
古川: 昔の100年企業は30年スパンの変化で良かったかもしれませんが、これからはもっと短いスパンで時代に合わせていかなければなりません。先代が大切にしてきた「お客様を大事にする」という理念を守りつつ、AIのような新しい技術を取り入れていく。それが次世代へのバトンタッチに繋がると信じています。
編集後記 印刷技術という日本の誇るべきクオリティを守りながら、それをいかに現代のニーズ、そして未来のテクノロジーと融合させるか。二人の対談からは、伝統と革新が共存する新しいビジネスの形が見えてきました。
<時代に合わせてイノベーションポイント>
強みを一点集中で差別化する
- 「印刷会社」ではなく「複写伝票のスペシャリスト」として専門性を明確にし、独自のポジションを確立した。
既存技術から新商品を生み出す
- 複写技術を活かし、子ども向け・ビジネス向けなど新たな用途を開発し、新市場を創出した。
アナログとAIを融合し、新たな価値を創造する
- 紙に書く価値を残しながら、AI・クラウドと組み合わせることで、従来にないサービスへ進化させた。
理念を守りながら変化を続ける
- 「人」を最も重要な資産と考え、お客様を大切にする理念を継承しつつ、AIなど新しい技術を積極的に取り入れ、持続的な成長を目指している。


株式会社 幸和
代表取締役 古川幸永
〒963-8835 福島県郡山市小原田4-14-32

この記事を書いた人:鍬田 和彦(くわた かずひこ)
3RD 編集長 / ブランドプロデューサー / M&Aバリューアップディレクター
企業のブランド価値向上を専門とし、デザイン・ブランディング・マーケティング・M&Aを掛け合わせた企業成長支援を行う。
「100年企業は日本の宝」という想いのもと、次世代へ事業を受け継ぐ経営者や、3代目・4代目の挑戦を取材・発信するWEBメディア「3RD」を運営。企業の歴史や理念だけでなく、その先にある未来へのビジョンを伝えることを使命としている。

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